呪胎九相図(じゅたいくそうず)

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呪物特級

胎児

呪胎九相図とは、”史上最悪の術師”と呼ばれる加茂 憲倫かも のりとし)が”仏教の九相図”(人間の死体が朽ちていく様子を九段階に分けて描いた図画)を模倣して作成した特級呪物である。

呪術高専東京校の忌庫きこ)に厳重に保管されていたが、特級呪霊である花御はなみ)が京都校との姉妹校交流戦を強襲した際に、その陽動に乗じた真人まひと)の手によって持ち去られた。
【参照】
九相図 - Wikipedia

目次(五十音順)

由来


明治初期に”呪霊の子を妊娠する”という特異体質の女性がおり、本人に性交渉の自覚が無いままに妊娠し、不完全な胎児を産み落とした。その女性は死産した子の亡骸を抱えて寺に駆け込むが、その寺の主人こそが加茂 憲倫であった。

「呪霊と人間の間に生まれた子」に好奇心を刺激された憲倫は、その女性に九度の妊娠と堕胎(人工中絶)を繰り返させ、その結果として生まれたモノが呪胎九相図の正体である。

ただし、それら九つの胎児がすぐに呪物として何らかの力を発揮するようになったのか?あるいは単に研究用に所蔵されていただけなのか?そして、母体であった女性はその後どうなったのかに至るまで、詳しい事は明らかになっていない。

脹相(ちょうそう)

呪術廻戦 脹相(ちょうそう)

呪胎九相図の”1番”が受肉して誕生した”長男”。次男である壊相えそう)、三男である血塗けちず)とは違い、完全に”人間の姿”を保っている事から、九相図兄弟の中でも最も安定的に”器”となった人間の肉体に定着している事が推し量れる。

術式・技

赤血操術(せっけつそうじゅつ)


産み落とされた胎児に加茂 憲倫自身が何らかの手を加えた結果なのか、脹相は加茂家の相伝術式である赤血操術を受け継いでいる。従って、呪術高専京都校に在籍する加茂 憲紀が使える技は、脹相も全て使う事が出来る。

また、威力の面に於いても、特級呪物として約150年もの時間を掛けて醸成した呪力は、生身の人間である憲紀を遥かに上回る。実際、渋谷での呪術テロに於いて”偽夏油”を追い詰めた際に放った”百歛 穿血” (びゃくれん せんけつ)は、それを見た京都校の憲紀に「なんて圧力だ!!」と言わしめている。

更には、憲紀には使えない脹相だけの独自な技も存在する。
血刃(けつじん)
血液をナイフのような形状に固めたものであるが、固形化しているのは外側だけであり、内部では血液を高速循環させる事によって反発力を生み出し、殺傷力を向上させている。
超新星(ちょうしんせい)
”百歛”で圧縮した血液を”穿血”のような直線放射ではなく、散弾銃のように拡散させて放つ技。なまじ、赤血操術について知識のあった禪院 直哉ぜんいん なおや)が、投射呪法によって”穿血”を躱しながら懐に飛び込む動きをイメージして攻撃を仕掛けたところ、実際には穿血ではなく超新星が放たれた為に被弾した。

体質

ある意味では「呪霊と人間のハーフ」とも呼べる脹相が赤血操術を扱う際、人間の術師である加茂 憲紀が扱うソレとは、威力以外にも決定的な違いが存在する。それは「呪力を血液に変換できる」という点であり、憲紀のように長期戦による失血対策として血液パックなどを予め用意する必要が無い。

渋谷での呪術テロ以降、廃墟と化した東京で禪院 直哉(ぜんいん なおや)と遭遇した際、脹相が呪力で増幅した血液を”波”のように拡げて浴びせる事により、赤血操術を見切ったつもりでいた直哉の動きを止める事に成功した。

存在しない記憶・虎杖は弟?

八十八橋」(やそはちばし)での戦いで虎杖と釘崎に壊相、血塗を殺された脹相は、もはや、真人ら特級呪霊に積極的に手を貸す事はせず、目的を虎杖を殺す事だけに絞っていた。

果たせるかな、渋谷駅構内で虎杖に遭遇し、接戦の末に肝臓を貫いて後は止めを刺すのみであったが、そこで突如として脹相の脳裏に”存在しない記憶”が発生する。その記憶とは、自分と壊相、血塗と虎杖の四人で和やかに食事を取るというものだった。

突然にして不可解なる出来事に大きく狼狽した脹相は、虎杖に止めを刺さずにその場を離れるが、そもそも、呪胎九相図の長男として弟たちに起こった異変は、どんなに距離が離れていても感じ取れるという特性を思い出す。

先ほどの戦いで、死ぬ一歩手前であった虎杖に対しても”異変”を感じていた事実を受け止めた脹相は「虎杖は10番目の兄弟である」と結論し、以後、行動を共にする事を決意する。

台詞

声優:浪川 大輔


【参考】「鬼滅の刃」では鋼鐵塚 蛍(はがねづか ほたる)役を演じている。

「俺達は三人で一つだ」
「あの世で 弟達に詫びろ」
「知らなければ 俺は何だ?」
どけ!!!俺は お兄ちゃんだぞ!!!

壊相(えそう)

呪術廻戦 壊相(えそう)

呪胎九相図の”2番”が受肉して誕生した”次男”。背中に、頭部とはまた別の”顔”のような部位があり、そこから常に微量の血液が漏れ出ている。本人は、これを他者に見られる事を強く嫌悪している。

真人からの指示によって”宿儺の指”の回収するべく、三男である血塗と共に八十八橋へと赴いた際、釘崎と虎杖に遭遇し両者想定外の交戦が始まる。

術式・技

蝕爛腐術・朽(しょくらんふじゅつ きゅう)


長男である脹相が加茂家の相伝術式である赤血操術を独立して継承しているのに対して、この蝕爛腐術は壊相と血塗の二人による「共有術式」となっている。

壊相か血塗、どちらかが吐き出した血液を対象が浴び、なおかつ、どちらかが”朽”を発動する事により、対象の傷口や粘膜から体内に侵入した血液が”腐食”を促し、10分から15分程度の時間を掛けて死に至る。ただし、対象が死亡する前に術式を解除した場合、腐食の進行も中断して第三者による治療も可能となる。

極ノ番・翅王(ごくのばん しおう)


壊相のみが行使可能な蝕爛腐術の攻撃形態。背中の部分に、半固形化した血液が昆虫の翅(はね)を模した形状に展開されて攻撃スタンバイの状態となる。その状態から攻撃が開始されると、棒状に伸びた数本の血液が人間が走る程度の速さで対象を追跡してゆく。

ただし、無限に追跡できるわけではなく射程距離は数十メートル程度に限られ、なおかつ翅王を発動すると既に発動されている”朽”は解除されるという欠点を持つ。

最期

釘崎によって血塗が殺され、自身も虎杖の”黒閃”によって右腕を失った為に涙を呑んで一時撤退を決意し、通りすがりのトラックの荷台に飛び移るが、それを見た釘崎が残された壊相の右腕を拾い上げて”共鳴り”を発動し、ふらついて荷台から落ちたところを追い付いた虎杖によって止めを刺され、死亡した

台詞

声優:檜山 修之


「大丈夫かなアイツら 胡散臭いよ 兄さん」
「私 自分の背中がコンプレックスでして」
バチ殺し!!

血塗(けちず)

呪術廻戦 血塗(けちず)

呪胎九相図の”3番”が受肉して誕生した”三男”。兄である脹相、壊相とは違い、受肉しても人間の姿を保っていないので、九相図兄弟の各個体の中でも呪力の強さや”器”となった人間との相性による安定度は、一定のものではない事が推し量れる。

上述の通り、壊相との共有術式である蝕爛腐術を扱うが、血塗自身は”極ノ番・翅王”を発動する事はできず、”朽”のみの発動に限られる様子である。

最期は釘崎の”黒閃”によって大ダメージを受け、”簪”(かんざし)によって止めを刺されて死亡した

台詞

声優:山口 勝平


「なんだぁ?遊んでくれるのかぁ?」
兄者ァアア゛ア゛アッ!!

残りの兄弟は?


四男以降の残りの兄弟は、(呪物化しているので腐りはしないが)既に死亡しており意識は存在しない。

当初、脹相は残りの兄弟の遺体を、後で時間ができた際に丁重に弔うつもりでいた。しかし、宿儺との最終決戦を目前に控えたタイミングで、虎杖が残りの九相図兄弟を自ら飲み込んで取り入れる事を提案し、脹相がこれを了承した。